次世代へと引き継ぐ「美味しい」日本の魚文化
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    のいただきます。

北九州市漁業協同組合

天然マダイ・ヒラメ

福岡県は全国有数の天然マダイの水揚げを誇ります。福岡県北部に位置する北九州市にある、北九州市漁業協同組合では、マダイをはじめヒラメやサワラなど豊富が魚種が水揚げされます。漁場の特徴や天然の魚が持つ魅力について、お話を聞いてみました。

はじめに北九州市漁業協同組合について教えてください。

北九州市漁業協同組合は7 つのエリアに支所があり、今いる脇之浦を本所に、長浜支所、若松支所などがあります。底ひき網、刺し網、延縄など、各エリアで、様々な漁が行なわれています。

北九州市周辺の海域はどのような特徴がありますか。

北九州市は福岡県北部に位置し、沿岸域は響灘、関門海峡、周防灘、玄界灘があって、豊かな漁場です。春はイカ、夏はマダイやスズキ、冬はサワラやヒラメ、カサゴなど一年中豊富な魚種が水揚げされます。また、通年タコ壺漁が行なわれ、関門海峡タコとして有名ですし、潜水でサザエ、アワビ、ナマコ、ウニなども獲られています。

このエリアで獲られるマダイについて教えてください。

響灘にある白島の南側5km から10km ぐらいのところで、1双ごち網漁で獲っています。1双ごち網漁は、袋状の網で獲る漁法です。全長が800mロープの真ん中に45mの網がついていて、それを巻き上げます。白島周辺は遠浅になっていて、急に深くなるポイントがあり、またいい磯がたくさんある好漁場です。マダイは5月から12月いっぱいまで獲れますが、5月が産卵時期でもあって1番量が多いです。だいたい5kgぐらいで、大きいものだと8kgぐらいのものもあります。やはり天然のマダイは身もキレイで、程よく脂がのっていて美味しいですよ。(幸洋丸/大庭喜美雄さん)

脇之浦地区は、マダイやヒラメをはじめ、通年様々な魚種が水揚げされる豊かな漁場。

ヒラメについても教えてください。

主に白島近辺で潜水板という板を使ってトローリングで獲っています。ヒラメは海底にいるので、潜水板を沈めてタコの疑似餌で釣ります。釣れない時はボウズのこともありますし、多い時は1kg ぐらいのが10枚、2kgぐらいのが5枚釣れます。時期は10月から1月終わりぐらいまでで、11月、12月が旬です。天然のヒラメは甘みがあって、歯ごたえがいいですよ。(幸昭丸/篠原幸治さん)

白島周辺でトローリングで獲られるヒラメは、筋肉質で歯ごたえがよく、甘みもあります。

緊急事態宣言の影響はありましたか。

2020年春の緊急事態宣言の時は、居酒屋さんや料亭さんが休んでしまったので、市場に出しても仲買さんが持ってきてもらっても困ると言われてしまいました。買い手がいないので、値がつけられないと。ただ、北九州市漁業組合ではすぐ近くに「産地直送市場 海と大地」というお店があるので、そちらの売上はありましたが、全体的には下がったと思います。

これからの課題を教えてください。

これからコロナ禍の影響は収まっていくとは思いますが、今回のことを教訓にするのであれば市場の出荷だけでは厳しく、安定性がないので、産直などで直接販売することも考えないといけません。また、いいものはブランド化をして、その価値を高めていかなければならないと思っています。

マダイについて語ってくださった大庭さん(左)と、北九州市漁業協同組合 脇之浦地区運営委員の崎野さん。

生産者×シェフ SPECIAL INTERVIEW