次世代へと引き継ぐ「美味しい」日本の魚文化
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    のいただきます。

株式会社イチヤママル長谷川水産

北海道産ホタテ

ホタテ漁獲量日本一を誇る北海道。渡島半島の北部にあり、函館市と室蘭市の中間に位置する八雲町で水産加工を営む株式会社イチヤママル長谷川水産さんに、北海道産のホタテの魅力や加工のこだわり、これからの展望をお聞きしました。

株式会社イチヤママル長谷川水産について教えてください。

北海道で獲れる新鮮な魚介類を使った水産食品を作っています。昭和43年にスケソウダラの加工から事業をスタートして、その後、干物やたらこなどの水産加工、小売業を展開し、現在では7つのグループ企業があります。取り扱う商品のメインは、ホタテをスチームボイルして急速冷凍したものや、ホタテの貝柱、他にたらこやイクラ、鮭などの加工品があります。あと、中国に冷凍の殻付きホタテを輸出しています。

コロナ禍の影響はありましたか。

中国の大連港への輸出がストップしているので、これから影響が出てくるかなと思います。今までボイルホタテは国内向けにあまり作っていなかったのですが、ホタテはどんどん水揚げされてきてしまうので、国内で販路を広げていっています。工場を止めるわけにはいかないので、色々と工夫をしています。

ホタテの産地はどのエリアですか。

生食やボイル向きなのが噴火湾と呼ばれる内浦湾で養殖されたものです。噴火湾は円形になっていて、川から山の栄養分が注ぎ込み、外海からは親潮がプランクトンを運んでくる、国内有数の良港です。1月の海水温は1℃、4月でも3℃。噴火湾の冷たい海で、ホタテは大きく育ちます。
貝柱商品に使用するのは、オホーツク海で地撒きで育ったものを使います。オホーツクのホタテは稚貝を放流して育てているので、天然養殖 のようなものです。

噴火湾で獲られた新鮮なホタテ。甘みがあり、旨味がしっかりしている。これがボイルホタテに加工される。

噴火湾、オホーツクで育てられるホタテの特徴を教えてください。

噴火湾の養殖ホタテは垂下式で育てられます。ホタテの貝殻の付け根に穴を開けてロープにくくりつけ、そのロープを海中に吊るします。ホタテが密集しないので、1 つひとつのホタテに効率的に栄養が届き、砂が入らないので食感が重要な生食やボイルホタテに向いています。オホーツクで獲られるホタテは、砂地で育っているので、貝柱が筋肉質で食感がいいです。

ホタテを加工する際に工夫されていることを教えてください。

水産物は鮮度が命なので、加工は水揚げしたその日に行ないます。殻付きのまま水揚げされ、市場から到着した後は、すぐに急速冷凍します。冷凍した後に、貝表面の付着物を機械で落として、さらに人の手でチェックします。ボイルホタテは、自社独自の過熱水蒸気式スチーマで蒸し上げます。高温の水蒸気によって短時間で蒸し上げることにより、ホタテの水分を保つことができます。
また、過熱水蒸気はふっくらと蒸し上がるのが特徴で美味しく仕上がります。また、安全管理として、菌が出たらいけないので、水にさらすなど様々な処理しますが、その処理をしてもホタテ自体の旨味を逃さないようにするように注意をしています。安心安全はもちろん、美味しく仕上げるようにしています。

これからの展望を教えてください。

我々、水産加工会社からすると、漁師さんが魚を獲って、儲かってもらわないと商売ができません。そのためには海の環境を守ることも必要です。噴火湾でいうと、昔は10万t 以上あったホタテの水揚げが、今では3 万t ぐらいになっています。環境が変わってきているのだと思います。また、漁師さんが獲ってきてくれた魚介類をどれだけ価値をつけて流通させられるかというところも色々と考えています。

三代目となる取締役常務の長谷川貴大さん(右)と、部長の金子達也さん(左)。若い力で会社を盛り立てる。

生産者×シェフ SPECIAL INTERVIEW