次世代へと引き継ぐ「美味しい」日本の魚文化
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    のいただきます。

カントナ 粂田 崇宏 さん

鰆とニョッキのチリソース ふわふわ玉子添え

中華料理とナチュラルワインの組み合わせを提案するカントナの粂田さん。コロナ禍で生産者さんのありがたみを、改めて感じたといいます。臭みが少なく、綺麗な味わいの印象が強いという日本の魚介類と国産ワインの共通点を見いだし、その魅力を語ってくださいました。

新型コロナウイルスの影響を聞かせてください。

2020年4月の緊急事態宣言が出たあたりは、僕自身も新型コロナウイルスがどういうものかわかっていなかったんです。ただ、ニュースで海外の状況を見ると、たくさんの方が感染して大変な状況になっていて。これは後々、日本も大変なことになるんじゃないかと、漠然とした不安を感じていました。なんとか感染が広まらないように協力したいと思っていましたが、4月は今のように協力金もはっきりしていなくて、店を閉めると売上がなくなって潰れてしまう。そこで、通常の夜の営業だけでなく、ランチタイムにテイクアウトを始めたんです。夜も15時~20時と、早い時間帯に営業をしていましたね。 2021年1月に2回目が発令されたときは状況がわかってきたので、神奈川県からの営業時間短縮要請に従いつつ、営業を続けることにしました。前回と変わったのは、ランチタイムのテイクアウトをやめたこと。食事のみを楽しみたいお客様が来てくださるのですが、ワインと中華を楽しんでもらいたいという当店のコンセプトから離れてしまって…。コロナ禍前と同じ、夜の営業だけに絞りました。飲食店はやはり、店舗の雰囲気やスタッフの接客も重要ですよね。コロナ禍でも、できるだけ店で食事やお酒を楽しんでもらいたいと思っています。

今回ご活用いただいた「サワラ」について、どのような感想をお持ちになりましたか?

すごくモノが良くて驚きました。サイズも大きくて鮮度も抜群でしたね。いただいてからすぐにさばいて、ひと口大に切り分けて少しずつ使わせていただいています。北九州でこんな立派な魚介が獲れるんだと、勉強にもなりました。レシピ開発にあたっては、淡白で大人しい味であるサワラの特徴を活かしつつ、料理全体にボリュームを持たせるためにはどうしたらいいかを考えました。今回は、ニョッキと合わせて、比較的味の濃いチリソースで絡めています。それから、サワラは漢字で書くと「鰆」となるように、春のイメージが強い方も多いので、彩も春らしく鮮やかにすることを意識しています。また、ワインに合わせても美味しいおつまみになるように仕上げました。

鰆とニョッキのチリソース ふわふわ玉子添え

日本の魚介類の魅力は、どんなところにあると思いますか?

中華料理では、白身魚やエビをよく使用します。日本料理などに比べると使う機会は少ないかもしれませんが、それでもできるだけ良いものを仕入れたいという気持ちはあります。そんな中で僕が考える国産魚介類の魅力は、味や身質の美しさでしょうか。国産の魚介は新鮮で臭みが少なく、綺麗な味わいの印象が強いです。当店は料理と各国のナチュラルワインを合わせて楽しんでいただくのですが、ワインづくりはすごく、その土地の風土や食文化が影響します。日本でつくられるワインは香りがよく、綺麗でやさしい味。それってつまり、魚介を含む日本の食材に、そうした美しいイメージや特徴があるからなのではないかと思うんです。美味しい国産の生産物があるからこそ、美味しいワインが出来上がっているのかなと感じています。

漁業関係者の方にメッセージをお願いします。

コロナ禍になって強く感じているのは、僕らの仕事はやはり、生産者の方々がいないと成り立たないということ。自分で魚を捕まえに行くわけにもいかないし、生産者さん、そして生産物を届けてくれる八百屋さんや魚屋さんなどの業者さんに、本当に感謝しなきゃいけないなと、改めて思うようになりました。コロナ禍でお客様がなかなか来なくなって、僕も正直、お店を閉めようかと思ったこともあったんですが、やっぱり少しでも生産者の方々に還元したいからお店を開け続けなきゃいけないなと踏ん張っています。いつもありがとうございます。

SPECIAL INTERVIEW

カントナ

粂田崇宏さん

神奈川県西区平沼1-33-12 くえーるビル1階
TEL:045-314-4337

神奈川県出身。横浜中華街「萬珍樓點心舗」等で長年修業を重ね、2012年に「タンメン・カントナ」を開業。2018年、ナチュラルワインに魅力を感じ、中華とワインを楽しめる現在の『カントナ』に。化学調味料不使用のやさしい料理を提供中。

生産者×シェフ SPECIAL INTERVIEW