中目黒ビストロボレロ一川 洋海 さん
スモーク銀鮭のコンフィ
魚介類が好きで多くのメニューに取り入れているという中目黒ビストロボレロの一川さん。漁協から直接の魚介類を仕入れたり、知人の漁師の方から送っていただくこともあるという一川さんに、魚介類の魅力やレシピ開発した料理についてお話を聞いてみました。
お店がある中目黒は、例年春に桜が咲き誇るので、このあたりの飲食店にとっては一番の稼ぎ時なのですが、緊急事態宣言が出た際には大打撃を受けてしまいました。店内営業はクローズし、テイクアウトのみの営業に切り替えました。これまではお店の1 階はカウンター席と個室があったのですが、緊急事態宣言を機に1階を全てキッチンに改装し、2020年の初夏には新たに「食品衛生法に基づく営業許可」を取得して、テイクアウトでの販売、お店で製造したメニューを真空冷凍し、ECサイトでの販売もスタートしました。
ディナーは席の間隔の兼ね合いもあるため予約制でおまかせコースのみの営業にし、宣言中の期間についてはこれまで行なっていなかった平日のランチ営業もスタートさせました。いろいろな対策をして耐えています。
外国産のサーモンと比べて赤身が強く、味が濃いですね。また、味わいがしっかりしつつも脂のりもほど良く、どのように調理しても美味しく仕上がるなと感じました。
家庭ではなかなかできない調理法を用いて、「お店だからこそ味わえる料理」を意識しました。塩漬けにしたサーモンを軽くスモークし、オリーブオイルと一緒に真空パックをして、低温で火入れ(コンフィ)を行ないました。国内産のサーモンは脂がのりすぎていないため、コンフィにしても脂っぽくならないのも魅力のひとつだと思います。
スモークの香りとヨーグルトソースとバルサミコソースの爽やかな酸味が脂ののった銀鮭に良く合う。
魚介類や肉類、野菜などバランス良く取り入れていますが、私自身が魚介類が好きなので多く使っています。普段から漁協直送の魚介類を使用することもありますし、知人の漁師の方から送っていただくこともあります。
同じ種類の魚であっても、獲れた地域の気候や海の温度、潮の状況などで味わいや食感などが変化することだと思います。私は熊本の出身なのですが、例えば同じ九州でとれた「カサゴ」でも獲れた県によって色みや味わいも違うんですよ。
私も岩手県に何人か漁師の知人がおりますし、養殖漁業は特に厳しい状況だと思います。しかし、手はかかると思いますが、例えば加工をしたり、真空にするなど、何かしら打開策はあると思うので、今日の状況を耐え忍び、何とか頑張って欲しいなと思います。また、お客様のためにも漁業関係者の方々のためにも、使える魚介類は今後も定期的に使っていければと考えています。
熊本県出身。2015 年6 月より中目黒ビストロボレロのシェフに就任。カジュアルで骨太なフレンチを提供。季節・食材に応じて毎日変わるメニューにファンも多い。